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「enricaの紡ぐ人とひと」Vol.7~春~表参道(東京)

PHOTO Waki Hamatsu Instagram  @wakyhama  
MODEL Kaori Miyazaki Instagram  @miiiiiiikaori 
TEXT Eve TARK

enricaが大切にしている’縁’から生まれた「enricaの紡ぐ人とひと」 。Vol.7は2010年のenrica初コレクションから′縁´が続いている宮崎香里さんをモデルに迎え、濱津和貴さんの写真と共にお送りします。

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【Miyazaki’s Ep.1 将来の夢】

生まれたのは埼玉県の日高市です。日高と聞いて、すぐにぴんとくる人はなかなかいなくて、川越の隣りですって言うと、なんとなくあぁってなる。埼玉の真ん中あたり。田舎です。でも実家を出たいと思ったことはなかったなぁ。働き始めるまでずっと実家暮らし。好きなんです、自然も多いし。いまの私が天然素材だったり、ナチュラルなものに惹かれるのは、子どもの頃に自然と触れ合う時間が多かったからかな、なんて思うほどに、自然の中で暮らしていました。

ファッションに興味を持ち始めたのは小学校の高学年くらいです。女子って、おしゃれが好きじゃないですか。その流れだったと思います。中学生になると、ファッション雑誌を読むようになって、だんだんはまっていった感じです。いまみたいにネットもない時代で、情報はすべて雑誌から。1ヶ月に3冊も4冊も買ってました。田舎だからお店もないんです。ほんとにない。洋服を買うとかは無理で、自分でつくったりしていました。15歳くらいのときにはもう、将来はファッションの仕事がしたいって思っていましたね。いまこうしてあの頃の夢というか、想いが叶っているのは、なんだか不思議な気がします。

【Miyazaki’s Ep.1 身近になっていくファッション】

高校生の頃は『Zipper』や『CUTiE』を読んで、たまに原宿に行ったりして、どんどんファッションが身近になっていった気がします。高校生になると、やっぱり原宿を目指すんですよね。ぶらぶらして、ラフォーレに行って、洋服を眺めたりしているだけで満足。でも個人的には派手なファッションは好きじゃなかったので、みんなほど原宿に対してテンションが上がってなかったかも。古着屋さんをまわるのは好きでしたね。2000年代に入ったばかりの頃は、ファストファッション的なお店もなかったし、高校生が洋服を買うのはなかなかたいへんな時代で、気に入った洋服を見つけると、熱心にあちこちチェックして自分でつくるときの参考にしていました。

【Miyazaki’s Ep.3 思い込んだら一途】

大学ではファッションを専攻しました。子どもの頃からずっと思い描いていた進路だったので迷いはなかったです。私はよくまわりからのんびりしているって言われるんですけど、それは間違ってないと思います。妹もおんなじタイプで、両親の育て方かもしれないですよね。でもオトナになって思ったんです。ただのんびりしているだけじゃないんだなって。実は頑固なんです、私。思い込んだら一途というか、これと決めたら時間はかかるけど、突き進む性格なんですよ。ゆっくり、ちゃんとやる。これまでの自分の生き方を振り返ると、そんな感じです。ファッションの道へ進むことを10代の半ばに決めて、脇目も振らずによく歩いてきたなとも思ったりもするんですけど、それが私なんですね。

【Miyazaki’s Ep.4 ひとりのお客さんとしても好きな店】

大学を出てから半年くらいはふらふらしていました。思うように就職先が決まらなくて。自分の中では、ファッションの仕事に就くことだけは決めていて、でも気に入らないところでは働きたくないんです。のんびりと頑固って、そういうところですよね。ふふふふ。「かぐれ」の募集を見つけたときは、あぁこれだって。店の感じももともと好きだったし、扱っている洋服も好みで、ひとりのお客さんとしていいなって思っていたので、採用が決まったときは嬉しかったですね。

【Miyazaki’s Ep.5 “enrica”との出会い】

enricaの洋服を知ったのは「かぐれ」に入ってから。上司が教えてくれました。細部までこだわってつくっていることにびっくりして。私自身も天然素材や草木染めが好きだったので、共感する部分も多くて。私はメンズっぽい洋服が好みで、どっちかというと女性らしいenricaの洋服は好みの真逆なんですよね。でも惹かれてしまう。私としては憧れというか、いつかこういう服を着こなせたらいいなって思っていました。バイヤーになってからは、enricaの洋服を手にとると、いろんなお客さんの顔が浮かぶんです。誰かを思い浮かべることができる洋服って、いいですよね。やさしさが洋服から滲み出ている感じがずっと好きですね。

【Miyazaki’s Ep.6 悩んで悩んで決めたこと】

30歳を手前にして、悩み始めて。好きな仕事を楽しくやっているけどこのままでいいのかなって。年齢を考えると、一度は新しい環境に身を置かなければいけないんじゃないかって思うようになって。半年くらいぐずぐずと考えていました。もともと相談下手なんです。決めてから報告するタイプで、大学進学のときも両親に相談することもなかったし、仕事をを辞めるときもほとんど相談しなかったですね。じわじわ悩んでいるんだけど、表情は変わらないから、なにを考えているかわかりづらい。まわりからみれば突然のことで、驚きだったみたいです。

【Miyazaki’s Ep.7 ファッションの仕事から離れる】

31歳で独立をして、アパレルの商品企画の仕事をするようになりました。楽しくやってます。ずっとファッションの仕事しかできない、したくないって思っていたんですけど、コロナの時代を経験してから考え方に変化が出てきたんです。仕事が在宅になったり、体調のことも心配になったりして、ファッションじゃない仕事に頭が向かい始めるようになったんです。いろいろ調べて、もともとアロマやハーブに興味があったので、よし勉強してみようと。3年かけて植物療法士の民間資格を取得しました。思い込んだら一途な性格なもので、ははは。家族にも相談しなかったですね。いきなり勉強を始めたので、何してるのって聞かれたので、資格とるよって言ったくらいかな。

【Miyazaki’s Ep.8 流れに身を任せて】

植物療法士の資格を取ってから、いろんなことに興味が向くようになって、最近はフラワーアレンジメントの勉強を始めたり、編集の学校に通ったり、いつそんなことやる時間があるのか自分でもわからないと思ったりもするんですけど、ゆっくり、ちゃんとやっていこうかなって。好きなことは突き詰める性格なので、好きなことがあると充実するんです。推し活もやってますよ。ふふふ。和の風合いだったり、文化だったり、日本のものがもともと好きなこともあって、将来は紹介する場をつくることができたらいいなと考えています。40歳を手前にして、自分で自分を忙しくしている感じなんですけど、もっと別の世界も見てみたいって思うので、流れに身を任せています。「かぐれ」を辞めたときも30歳という節目が背中を押したこともあるので、40歳もなにかあるのかもしれないですね。

(Instagram、Facebookで好評いただいた@enrica_jp「enricaの紡ぐ人とひと」 Vol.7~春~表参道(東京)の投稿のアーカイブです。)

Jun 25, 25 | from enrica