PHOTO Katsumi OMORI
MODEL Kyuriko OMORI
STYLIST Masumi ISAYAMA & enrica
TEXT Eve TARK
ある雑誌をめくっていて見つけた1枚の写真。
やわらかな光の中でほほえむ制服姿の女の子は白いマフラーをまとっていた。
爽やかさと初々しさがちょっと羨ましもあり、どこか照れくさい気持ちにもなった。彼女の後ろに延びるまっすぐな道は、確かな未来へと続く滑走路のようにも思えた。
2017年の初夏のこと。それからずっと、「撮影・大森克己」と記された1枚の写真は心に残っていた。
大森さんの記事をwebで見つけたのは、コロナがなんとなく落ち着いてきて、桜が散り始めた2022年の春のことだった。記事のタイトルは「写真に未来は写らない」。ふと、あの時の女子高生の写真が頭に浮かんだ。彼女は、どんな未来を迎えているのだろうか。5年前に目にした彼女の未来を写真に撮ってもらいたいと思った。それは、彼女の現在ということだけれど。
enricaが大切にしている’縁’から生まれた22ss collection「enricaの紡ぐ人とひと」 vol.5 ~ 23才の私が思うこと ~ 浦安、新浦安(千葉)スタートします。
Katsumi OMORI Instagram
https://www.instagram.com/omorikatsumi/?hl=ja
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「モデルをやったのは今日が初めてだったんですけど、やっぱり、恥ずかしかったですね。でも、よく考えてみると、それほどでもなかったかも、という思いもあって、普段は着ない服を着て、歩いたり止まったりしながら、へぇ、撮影ってこんな感じなんだって、客観的な自分もいて。途中、これでいいのかなと思ったりもしたんですけど、父親だし、まぁ大丈夫かなって」
「写真を撮られることって、そもそも緊張するじゃないですか。私が感じた恥ずかしさは、モデルだからというよりは、写真を撮られることの方にあったのかなと思います。赤の他人だったら、それなりに戸惑っていたと思うんです。でも、目の前でカメラを構えているのが父親だということで、任せたというか、頼みますよというのかな、私はいいから服が綺麗に写ったらいいなとか、そんなことを考えたりしてました」
「不動産デベロッパーで働いています。社会人2年目です。母親が会社勤めをしていることもあって、将来の像が描きやすかったというか、私も大学を卒業をしたら就職するんだって、当たり前に思ってましたから。父親のことは純粋にすごいなって思います。実際、すごいし。でも、写真家って安定しない仕事じゃないですか。あぁ、私には無理。ずっとそう思っていました。こんなこと言っちゃって、大丈夫かなぁ(笑)。安定志向なんです、私」
「働いてみて思ったのは、私の仕事って地味だなぁって(笑)。きらきらしている感じはどこにもなくて、小さいことの積み重ねで仕事が大きくなっていくのはぼんやりと見えるというか。でもまだ実感はなくて。毎日なにかしら細かいことをやりながら、気がつけばいつも忙しいなって実感はあるんですけどね。楽しいとか楽しくないとかじゃなくて、きちんと自分の仕事ができるようになりたいなって思います。そのために、いまがあるんだと」
「生まれはサンフランシスコで、育ったのは浦安です。母親が産休のときに父と母は1年間サンフランシスコで暮らしていたんです。私が生まれるとすぐに日本に戻ってきたので、サンフランスシコ生まれと言っても英語はまったく話せません(笑)。子供の頃で覚えていることがあんまりなくて、昔を思い出して懐かしがったりすることもないですね。将来の夢が何だったのかも思い出せないかも。ただ、働かないといけないなとは思ってたましたね。両親が共働きだったからかな、子供心に大人って働くものだって思っていたみたいです。大人になったら仕事はするもんだって」
「もともとインドア派なんです。普段は家で映画やYouTubeを観ていることが多いですね。学生時代も学校に行けば友達とは遊びますけど、休みの日に自分から友達を誘って出掛けようというタイプじゃなかったですね。社会人になってからも、それは変わってないです。予定がなければ、ずっと家にいたいんですよ。と言うか、社交的じゃないんだと思います。それなのに家の居心地がいいもんだから、休みのは何もなければ、ほとんど家から出ないで、ずっとパジャマでいたりします。家が好きなんですよね」
「将来のことって、あんまり考えないですね。夢もないかな。みんな夢のこと聞いたり、言ったりするじゃないですか。でも実力がないと夢って現実にならないと思うんです。夢を持つ前に、まずは自分がしっかりしないといけないと。夢というくくりにしちゃうとなんだかちっぽけですけど、いまは仕事をしっかりすることが目標かな。今は転職してキャリアアップという欲もないんですね、私。そもそも、仕事が出来なければ、転職も無理だし思うし。とにかくいまの会社で、誰がみても大丈夫っていう実力をつけることかな。」
「浦安育ちです。浦安にものすごく愛があるかと言うと、どうだろう? 中学、高校、大学と都内に通っていたこともあって、通学にもそんなに時間がかからなかったので、私の中で東京と浦安に大きな違いがそんなにないんです。帰ってくる場所って感じですね、浦安は。家が好きなので、もともと浦安を探索することもなくて。コロナのとき、父は浦安を歩き回っていたみたいで、今日の撮影で浦安のことに詳しくなっていてびっくりしました(笑)。」
「やりたいことって聞かれると、すぐに思い浮かばないんです。そもそもあんまりないんですよ。けど、やりたくないことはあれこれと思い浮かびます。物事を決めるときは、やりたいことを考えるよりより、やりたくないかどうかを考える感じです。いまの仕事を決めるときも、やりたくないことを挙げていったら、だんだん削られていって、ここだって決めた感じです。」
「いまは、貯金が趣味かも。とか言うと、変ですよね(笑)。毎月、貯金額が増えていくのが楽しかったりするんです。何かを買おうっとことではなくて、母親と新しい車が欲しいよねとか話したりはしますけどね。一攫千金とかは考えたことないですね。地道が好きっていうか、合っていると思います。同じくらいの世代の子で、YouTuberになりたいとか聞くと、突拍子もないなって思います。私にはない発想なので…」
「自分の中で熱量を持って動いているのは、アイドルですね。小さい頃から、ジャニーズやK-POPが好きで、嵐に始まって、いまはSnow Man。コンサートにも行きますよ。そこはガチでお金を使いますね、ファンクラブももちろん入ってます。ファンクラブに入ってないとチケットが取れないというのもありますけどね。コンサートって、一夜限りの特別な空間じゃないですか。誰であっても、好きなミュージシャンのコンサートに行くということは意味があると思っています。」
(Instagram、Facebookで好評いただいた22ss collection「enricaの紡ぐ人とひと」 Vol.5~ 23才の私が思うこと ~ 浦安、新浦安(千葉)の投稿のアーカイブです。)
Jul 13, 22 | from enrica